混合ワクチン 何種?

こんにちは。ポチデリです。

本日は混合ワクチンについてお話させて下さい。先日犬友と遠くのドッグランに遊びに行こうという話をしていて盛り上がっていたのですが、私が愛犬(ジャックラッセルテリア・メス・3歳)に混合ワクチンを打っていないのでうちは入れないことがわかりました。

皆さんは混合ワクチンを打っていますか?打っている場合は何種を打っていますか?

【混合ワクチンについて】

ワクチンとは人為的に作られた病原体をいいます。ワクチンを摂取するとその病原体(異物)と戦うため、体は「抗体」をつくり攻撃をしたり体外に排除する働きをすることで病気にかからないようにします。こういった体の仕組みを利用し、ワクチンを摂取することにより病原体に対する抵抗力をつけることにより、感染を予防する体を作っているのです。

そのため、9種のワクチンを摂取することにより9感染症等の予防、11種のワクチンを摂取することにより11種類の感染症等の予防する体を作っています。

ワクチン摂取には摂取した犬(個体)の感染症等の予防の観点のほか、「感染症のまん延を防ぐ」という考えもあり、ワクチンを摂取することにより免疫を持った犬達がいることで感染のまん延を防ぐことができる「集団免疫」のために摂取を促すケースで推奨されることもあります。



【コアワクチンとノンコアワクチン】

犬の混合ワクチンは「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類の組み合わせによって構成されています。

コアワクチンとは生活環境に関わらずすべての犬が接種すべきワクチンとされています。
ノンコアワクチン生活・地域環境のリスクに応じて接種すべきワクチンとされています。

【コアワクチン】

コアワクチンは致死率の高い病気に対してのワクチンで、高い効果が認められているため全ての犬の摂取が必要とされています。

ジステンバーワクチンはジステンバー病と呼ばれるウィルス感染症で致死率が高い病気を予防するためのワクチンです。ジステンパー病は末期になると異常行動やけいれんなどが見られ、下半身にまひなどを生じます。

アデノウィルス2型のワクチンは犬伝染性肝炎と犬アデノウイルス(2型)感染症(犬伝染性喉頭気管炎)を防ぐためのワクチンです。犬伝染性肝炎とは、ウイルス性感染病で1歳以下の未満の子犬は比較的重篤な症状を示すことが多く、最悪の場合には死に至ることもある怖い感染症です。
犬アデノウイルス感染症は、「ケンネルコフ」と呼ばれる「犬のカゼ」の病原体の一つと考えられており、咳が主な症状です。

パルボウィルスワクチンはウイルス性の感染症であるパルボウィルス病に効果的なワクチンです。パルボウィルス病は腸炎型と心筋炎型の2つに大別され、 腸炎型は悪化すると血便や脱水や白血球の減少等が見られ、死に至ることもあります。
心筋炎型は吐き気や不整脈が現れ、急性の場合突然の虚脱や呼吸困難を起こし多くは急死してしまう病気です。

この3つは、環境に関わらず生後14か月以内に摂取することとされております。アメリカを含めた海外では狂犬病と同様に摂取義務がある国もあります。

ペットショップなどで犬を家族に迎えた場合は、ペットショップが生後ワクチンを打っているケースが多く証明書でご確認頂くことができます。

【ワクチネーションガイドライン】

世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーションガイドラインというのがあり、ワクチンについての見解を述べています。

ガイドライン(P.4)によると「ほとんどのコンパニオンアニマルのコアワクチンに関しては比較的最近まで、最短のDOIが1年間とされていたため、年1回の再接種が推奨されていた。近年は、同じ製剤の多くで最短のDOIが 3年(場合によっては4年)で承認されている。実際、多くの国ではコアのMLVワクチンのほとんどについて、成熟動物への3年毎の再接種が承認されている。しかし、同じ製剤の最短のDOIが今でも1年のままの国は少なくない。これは単に製造業者が製剤添付文書の推奨事項を変更していないか、または国の規制当局が変更を許可していないことによる。」と記載があります。ご興味がある方は読んでみて下さい。

堀本先生から教えて頂いたこと】

上記のようにワクチネーションガイドラインによれば、3年ごとが推奨されるということですが、基本的に日本で発売されているワクチンのDOIは1年で発売されているそうです
堀本先生は、「実際、日本製のワクチンで抗体価検査をすると3年以内に抗体価が低下していることも多々あるため、WASABAのガイドライン通りには運用できない現状です。
抗体価の持続自体はワクチンのメーカーや体質にもよるなという印象もあるため、私自身は年1回の抗体価検査かワクチン接種をおすすめしています。
多くの病院でも年1回の抗体価検査を推奨していると思います。
とお話頂きました。

私の近所には海外の方が多く住んでおり、1年は多すぎるなどの意見があったり影響を受けておりましたが、調べたり先生の話をお伺いしたりて、私も今回学ばせて頂きました。
DOIが何年間抗体を持つものなのかを獣医師さんに確認してみたら、ワクチンの摂取の頻度が分かるようになります。是非担当の獣医師さんに確認後、DOIが1年のものであればコアワクチンは毎年摂取する必要がありますね!

【ノンコアワクチン】

ここからはノンコアワクチンのご紹介です。

犬パラインフルエンザワクチンは、呼吸器機能の低下をもたらすウイルス性の感染症パラインフルエンザウイルス感染症を予防するためのワクチンです。感染すると、咳や鼻水が出たり、発熱、元気・食欲の低下など風邪同様の症状が現れます。

犬コロナウイルスとは、人が感染するコロナウイルスとは別のもとなり犬が感染するウイルス性感染症です。子犬が感染した場合は、下痢、嘔吐、元気消失、食欲減退などの症状が現れ、激しい胃腸炎を起こします。便の色がオレンジ色になり悪臭を鼻血、血便になることもあります。症状が進めば場合は死にいたることもあります。

犬レプトスピラとは犬も人間も感染する細菌病です。レプトスピラに感染したネズミの尿やそれに汚染された水や土壌に接触すると感染します。感染後ウイルスは肝臓や腎臓で増殖します。犬が感染すると腎臓に重度の障害を起こすと言われており、死に至ることもある病気です。
レプトスピラに感染が判明した場合、人間の感染でも、犬の感染でも医師や獣医師は機関に報告する義務があるほど注意が必要な病気であり、犬においては2021年に27件感染が報告されています。

「ノンコアワクチンは生活・地域環境のリスクに応じて接種すべきワクチンとされている」と上記で述べましたが、レプトスピラは沖縄・九州地方での報告が多いことから、地域ごとに流行りえる感染病が異なることを知っておくと愛犬の摂取に基準となりえますね!

世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーションガイドラインによれば、ノンコアワクチンは年1回の摂取が推奨されています。

【飼い主としての判断】

愛犬の健康や予防に対してやはりいろんな考えがあり、ワクチンも選択の1つであると思います。でもこうやって知ることで、愛犬の健康を考え、一日でも長く健康でいてくれるようにワクチンとも付き合ってくれたらいいなと思い直しました!

Happy life with dogs!

監修

堀本 ひかり(獣医師)
出身学校 帯広畜産大学
所属学会・資格 日本獣医エキゾチック学会

CTを備える医療センターから、獣医師一人で診察する小さな分院、夜間救急病院などの勤務。