犬に必要なミネラル

こんにちは。ポチデリです。

犬の亜鉛不足の続きになり、少しマニアックにはなりますが今日はミネラルを深堀してみたいと思います。

ミネラルとは、犬に必要な栄養素の一つで歯や骨、神経や筋肉機能を強くし、血流の流れを調整し、血流やホルモン産生に酸素を運ぶなど細胞の活動をサポートします。

犬の健康維持のためには11種類のミネラルが必要だと言われております。

カルシウム Calcium
クロム Chromium 
Copper
ヨウ素 Iodine
鉄分 Iron
マグネシウム Magnesium
マンガン manganese
リン phosphorus
カリウム potassium
セレン selenium
亜鉛 zinc

11を1つづつ見ていきたいと思います。

1. カルシウム 

主な役割:
◎強い歯や骨を作る
◎酵素の働きを活発化し、エネルギーを作る
◎血餅を作る
◎神経伝達を助ける
◎正常な筋肉の収縮を調節することにより、筋肉や心臓のの働きを助ける
◎ビタミンB12の吸収を助ける

カルシウムを多く含む食材:
◎チーズ
◎ヨーグルト
◎イワシ、鯖、
◎生肉のついた骨

カルシウム不足:
心臓の機能の低下、骨がもろくなる。
運動障害、クル病等

カルシウムはその中でも重要な栄養素で、カルシウムが血流の中に不足している場合や慢性的なカルシウム不足が起きると体は、骨からカルシウムを取り出すことをし、骨量が減少します。ですが、カルシウム不足は、カルシウムの正常な量から30〜40%以上失って、初めて目で見える変化が現れるため、早期発見が難しいと言われています。

カルシウム不足と診断された場合:
バランスのとれたドッグフードを与える。
手作りフードを提供している場合は、1回に与えるフードが40~50%を生肉など良質な動物性プロテインで構成されていない場合、カルシウム又は炭酸カルシウムを追加栄養素として加える。

1に、生肉のついた骨をおやつ又はフードを与える際に一緒に与える。

2にヨーグルト、カッテージチーズ(牛乳から脂肪分を抜いたチーズ)などの乳製品を加える。

3に卵の殻はカルシウムを多く含み、割った卵の殻を一晩乾し、粉砕後、大さじ1/2を食事に加えるなどの工夫も可能。

2.クロム

主な役割:
炭水化物や脂質の代謝を助ける
インスリンの生産

クロムを多く含む食材:
チーズ
レバー

3.銅

主な役割:
骨の発育、形成
鉄の吸収を助ける
エネルギーを作るための酵素

銅を多く含む食材:
チーズ
レバー

銅不足:
銅不足になることは稀とされているが、銅が体内で不足した場合は、貧血や骨が変形する可能性があり。

4.ヨウ素

主な役割:
甲状腺の働きを助ける

ヨウ素を多く含む食材:
ケルプ(コンブ科に属する大きな海藻類をまとめて呼ぶ通称)等

甲殻類

ヨウ素の必要以上摂取した場合:
過剰摂取は甲状腺の働きを妨害することがあるので、注意が必要。
苺、桃、キャベツ、大根などは、甲状腺の病気を持つ子には注意して与える必要がある。

5.鉄分

主な役割:
細胞の合成
貧血を防ぐ

鉄分を多く含む食材:
肉、特に肝臓

鉄分不足:
気力低下、疲労
攻撃的になる
飲み込むことが難しくなる
動機、息切れ
歯茎や舌の血色がなくなる

犬が食するべきバランスのとれたフードを食している場合鉄分不足になることは稀だが、
重度の栄養不足
溶血性貧血(血液中の赤血球が破壊される病気)出血
中毒 (誤飲誤食)
寄生虫
などにより起こる可能性がある。

6.マグネシウム

主な役割:
骨の形成
神経伝達を助ける
筋肉の働きを助ける・調整する

マグネシウムを多く含む食材:
乳製品

マグネシウム不足:
睡眠障害
憂鬱感
成長不良
筋痙攣(けいれん)
てんかん発作など

7.マンガン

主な役割:
酵素の構成成分
骨の形成
糖質脂質の代謝に働く
神経機能
筋肉の動きを助ける・調整する
糖質脂質の代謝に働く

マンガンを多く含む食材:
わかめ、などケルプ(コンブ科に属する大きな海藻類をまとめて呼ぶ通称)等

マンガン不足:
骨の形成に異常をきたす
成長不良

8.リン

主な役割:
骨の強度を高める
細胞内のエネルギー生産・運搬

リンを多く含む食材:

乳製品
大豆

リンの過剰摂取:
リンの必要量以上の摂取は反対に骨の形成に悪影響を与えるので注意が必要。
腎臓に負担をかけるため腎臓病はリンの摂取を控えることが必要。

9.カリウム

主な役割:
細胞内液の浸透圧を調節
血圧の調整
神経伝達
筋肉の収縮

カリウムを多く含む食材:

乳製品
大豆
鶏肉

カリウム不足:
気力低下
筋力低下
不整脈
鉄のように通常の食事なら不足することは少ないが、嘔吐や下痢、利尿剤の長期使用により起こる可能性
肝臓病は過剰摂取注意

10.セレン

主な役割:
組織細胞の酸化を防ぐ

セレンを多く含む食材:

肉の臓器

セレン不足:
回復機能の低下
心臓機能の低下
筋力の低下
鉄やリンと同様、ほとんど欠乏症はない

11.亜鉛

主な役割:
免疫機能の向上

亜鉛を多く含む食材:

鶏卵

亜鉛不足:
嗅覚障害による食欲の低下
回復機能に障害が起きることにより回復が遅い
視力の低下
皮膚が荒れる、被毛が抜ける
生殖機能が低下
妊娠中のお腹の赤ちゃんに影響を与える

ストレスや病気により亜鉛が不足することがある。ステロイドや排尿促進剤など薬の摂取により亜鉛不足になることもある。他のミネラルとは異なり、亜鉛不足はその症状が現れるのが早い。

ここに上げられる11のミネラルの多くは、バランスのとれたドッグフードを食べている場合問題なく摂取していると考えられるほど、少量で良いものが多い。

そのため、少し症状が見られるというだけでフードに追加したり、サプリとして与えるよりもまずは獣医師と確認後に与えるのが良いかと思います。少量で良いからこそ、体内で十分に吸収できない理由が、単純なミネラル不足ではない可能性が考えられるからです。

監修

堀本 ひかり(獣医師)
出身学校 帯広畜産大学
所属学会・資格 日本獣医エキゾチック学会

CTを備える医療センターから、獣医師一人で診察する小さな分院、夜間救急病院などの勤務。
リュー・オルソン(自然栄養学博士/ブリーダー)
リュー・オルソンは40年以上、多岐にわたる犬の健康に関わる仕事に従事。

犬の消化器官の研究でテキサス大学で博士号終了。犬のサプリ開発などに関わる傍ら、ロットワイヤーのトップブリーダーを30年以上続けており、アメリカンケネルクラブ審査員、テキサス コンローケネルクラブ会長などを務める。

犬の健康的な食生活ガイドのEマガジン/ECサイト「B-Natural」の運営に加え、Gazette(ニュージーランド)、the Mein Hund (スイス), the Rottweiler Quarterly(米国)といったブリーダー専門誌への寄稿も行う。

主な著書に「Raw and Natural Nutrition for Dogs, Revised: The Definitive Guide to Homemade Meals! 」などがある。

1992年には、自身の愛犬達には生肉を与えるフードに変更した。